母73才、初めての海外へ 最終日その3 『ドイツより帰国』(再掲)
来た時は凡ミスしてしまったが、今度は自分たちの指定された座席に座って行った。フランクフルトでの乗り継ぎは、1時間ほどしかない。フランクフルト国際空港駅へ到着し、広い空港内を出国審査を経て搭乗ゲートへ向かう。ゲートにあるカウンターでチェックインすると、隣り合って空いている座席はもう無いそうで、私は「それでは困る。」と抗議した。母はドイツ語はもちろん英語だってできないのだ。客室アテンダントに日本人がいても、常に日本人が応対してくれるとは限らない。隣同士でないと、母が何かと困るだろう。そのことをかなり強く主張した。応対していたドイツ人の女性スタッフは「日本人のスタッフを呼んで来ますから、少しお待ちいただけますか?」と言い、日本人の男性スタッフを呼んできた。
私は彼には日本語でかなり強く主張した。男性スタッフは、同じ便で帰国するツアー会社のコンダクターやお客らを何人も呼んでは、その都度「座席を替わっていただけないか?」と尽力してくれた。ドイツ人の女性スタッフは母のために椅子を用意し「どうぞ、座ってお待ちください」と、気を使ってくれた。時間はかかったが、その甲斐あって何とか隣同士の座席を確保していただいた。しかし時すでに搭乗時刻となり、最後にここフランクフルト国際空港の免税店で、何かお土産をとの思いは、水の泡と消えてしまった。そしてとうとう日本へと帰る飛行機に乗る。
飛行機の中での食事は、来る時よりはやはり良かった。チキンの照り焼きか、ビーフストロガノフ。前に利用した時にも思ったのだが、このルフトハンザ航空は日本発の便よりドイツからの便の方が、食事は絶対に良い。ドリンクは赤ワインをいただく。もちろんその前に Sekt(スパークリングワイン)もいただいた。そして少しでも眠る。何しろ到着時間が日本時間の朝8時過ぎだが、ドイツ時間では真夜中なのだから、眠くなるのは目に見えている。そして日本時間で明け方、朝食が運ばれてきた。オムレツだ。これもなかなかおいしい。
ルフトハンザ航空の機内食メニュー。左からドイツ語、英語、日本語で表記されています。
やがて、中部国際空港到着。入国審査、荷物を受け取り税関。荷物を広げさせられることもなく、申告するものも「ありません」と答え、そのまま通過。正直言って、助かった。もし、荷物の中をチェックされたら、没収されるかもしれないものが、いくつかあったはずだ。例えば酒類は計7本(ワイン6本とシュナップス)だから無税で持ち込むのは1本多いし、ましてリーバーヴルストやその他のソーセージも、持ち込みできないもの(真空パックのものや缶詰なら、持ち込み可能)があったはずだ。それらを免れて、空港ロビーへ。
オープンしてまだ数カ月の空港内を見学しようと思ったのだが、カートでは行けないようだ。かといってカートなしでは荷物が重すぎて(スーツケースは30kgを超えていた)、それどころではない。結局、見学は諦めて帰ることにするが、どうやって帰ろうか?バスか電車にするしかないのだが、運良く出発時に利用したTタクシーの空港リムジンの運転手のT君に遭遇。すると、たまたま同じ方向へ行くリムジンタクシーがあり、まだ乗れると言うので、それに乗って帰ることにした。そのリムジンは、バンコクからの便が1時間ほど遅れていたので、運良く乗ることができたそうだ。もし、その飛行機が定刻通りに到着していたら、もう出発した後だったらしい。30分ほど待ち、そしてリムジンタクシーで自宅へ直行。10時過ぎに到着。これで我々の、母にとっては初めての海外旅行が終わった。
『母73才、初めての海外へ』 完
*この旅日記は2005年のものです。
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