5月7日(土)晴れ
カトマンドゥ
8時30分起床。トレッキング中の習慣のせいか、それとも早く寝たからなのか、6時に一度は目が覚める。まずシャワーを浴びる。朝食は、パンとコーラを買ってきて部屋で食べる。その方が安上がりだ。バルコニーでボーっとしていると、ゴビンダがやって来た。今年の秋に日本へ行くと話している。2週間のツーリスト・ビザが取れるらしい。しかし、そう簡単に取れるとは思えないが・・・。
*彼が実際にビザを取得し来日したのは、それから数年後のことでした。
ふと下を見ると、ポカラそしてタトパニでも会った織田さんと都築さんが歩いている。バルコニーから呼びかけると、彼らも気づいてくれた。彼らは飛行機のストライキの影響で急遽、明日帰国することになったらしい。この日はお土産の買い出しで1日つぶれそうだって。
11時30分、一昨日の約束通りアンジュと彼女のお姉さんの家へ行く。だが面倒なことが一つある。男女交際については、まだまだ遅れているこの国。2人だけで歩いている姿を目撃されるだけで、何かと噂される街。予め打ち合わせたとおり、ゲストハウスを別々に出てしばらく行った道の角で何食わぬ顔をしてアンジュを待ち、お互いさりげなく目配せし、アンジュがオートリクシャとの料金交渉が成立してから俺に合図をし、周囲に知り合いがいないかどうかを確認して、オートリクシャに俺も乗り込む。実に用心深くやらなければならない。
*私が料金交渉すると、当然ツーリストプライスになります。アンジュ1人だけで交渉すれば、ネパリー料金。で、そのあと私が彼女の合図と共に一緒に乗る、ということです。
彼女の姉の自宅は、やや郊外にあり、ネパールでも1・2を争う高級ホテル、『ソルティ・オベロイ』のすぐそばだ。このホテルは初めてこの国を訪れたとき、カジノを楽しんだところ。そのホテルのすぐ近くだから、いやがうえにも場所を覚えることができる。その自宅はとても大きくて、家の中へ入るとアンジュの姉夫婦が出迎えてくれた。
彼らはアンジュが連れてきた思いがけない日本人客の訪問にも、大歓迎してくれた。アンジュの姉、ウタンさんはいたって明るく陽気で、カナダ人の夫アランさんは62才で敬虔な仏教徒だそうだ。アランさんは自室に小さな祭壇を祀り、「ここは私のパラダイスだ」と話していた。我々日本人も仏教徒ではあるが、彼のこの敬虔な姿、信仰心の強さには、何か感じるものがあった。
左からアランさん、ウタンさん、アンジュ、俺。
ウタンさんとアンジュ姉妹で!
4人でウィスキーを飲み交わし、写真を撮ったり音楽を聴いたり。ラジカセからはイーグルスの『ホテルカリフォルニア』が!歌に合わせて口ずさんでいるとウタンさんも一緒に歌い始め、お互いにニッコリ!テーブルの上に2つの新聞。ひとつは英字、もうひとつはネパールの新聞。ネパール語で書かれた新聞名を見て俺は「ゴルカパトラ?」と聞くと、合っていた!これにはウタンさんもアランさんもビックリ!アランさんはもう数年ネパールに住んでいるのに、ネパール語を話せないし、まして読むことなんかできないそうで、本当に驚いていた。
アランさんが一番好きなお酒は『ブラディマリー』だそうだ。それを聞いて俺も嬉しくなった。俺も大好きなカクテルだし、ネパールまで来るシンガポール航空の機内サービスで『ブラディマリー』を1杯2杯と飲んだことを話すと、彼はとても喜び、好きなお酒が同じだということで、俺のことをたいそう気に入ってくれたようだ。アンジュは本当はほとんどお酒は飲めないのだが、「全く飲まないと姉が怒るし、少しでも飲めば姉は喜ぶから!」と言って水割りを飲んでいた。
夕食までご馳走になり、気がつけばもう8時半。さすがにそろそろ帰ることにする。アンジュとオートリクシャに乗り俺はゲストハウスの少し手前で降ろしてもらう。万が一、誰かに見られるとすぐに噂になるから、慎重に行動しなければならない。2人だけの秘密ができたようで、こういうのって何となく楽しい!9時ごろ戻り、ウィスキーで酔っているせいか、そのまま眠る。
初めてお会いしたアランさん、ウタンさんともすっかり打ち解け合いました。それを一番喜んでいるのは・・・、アンジュかも?!
アランさん、ウタンさんのラブラブぶり!ペットの『チャボ』と共に!
カトマンドゥ、マナスル・ゲストハウスにて
*この旅日記は1994年のものです。
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