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2013年2月14日 (木)

カラ・パタール登頂!間近に聳えるエヴェレスト!(再掲)

ゴラクシェプでティータイムを終え、いよいよゴールのカラ・パタールを目指す。
ここからは、かなりきつい登りだ。空気の薄さもあり、完全にへばり気味である。
少し登っては休み、また少し登る。

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エヴェレストが、その頂を見せ始めました。ついに夢が実現のものになりました。感動!
他にも何人ものトレッカーたちがカラ・パタールを目指して頑張っています。

だが、もうダウン寸前だ。ついに、しゃがみ込んでしまった。
中腹までは登ってきている。そして、ここからでもわずかながら、エヴェレストの頂が、その姿を現している。
ガイドのラジンは、俺の体調を気遣ってか、
「ここからでもエヴェレストは見える。もう下山した方がいい。」と勧める。
しかし、俺の答えは、「No!」。
当りまえだ!ここまで来て、どうして諦めることができようか・・・?

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しかし、すでに5000mを超える場所。高山病との戦いです。一歩一歩が本当に重く感じられます。時にはこうして座りこんでしまいます。

そしてその時、俺に数多くの友情が・・・!

「Hallo ! dsching ! Are you O.K ? Don't give up ! Never give up !
 If you will go to Kalapatar , you can see very nice view !
 You go slowly ! Slowly , slowly you go ! Never give up !
(ハロー、ジン!大丈夫か?あきらめるな!絶対にあきらめるな!
 カラ・パタールまで行けば絶景が眺められるぞ!
 ゆっくり行けよ!ゆっくり、ゆっくりでいいから!絶対にあきらめるな!)」
と声かけ、励ましてくれた、名も知らぬトレッカー。

「Hey dsching ! How are you ? (ヘイ、ジン!大丈夫か?)」
と、ドイツ人のエルマー氏。

連日、同じ村でキャンプをしながらトレッキングしていたシンガポール在住のフランス人夫婦も、へとへとの俺を見て、彼らのガイドに栄養補給食品を持たせ、俺に分け与えてくれた。
「今、一つ食べて、30分後にもう一つ食べなさい。」と。

俺は彼らに、
「Thank you very much ! Merci ! Merci beaucoup ! (ありがとう!本当にアリガトウ!)」
と、英語、フランス語両方で感謝した。

カナダ人のイングリッドさんも、
「dsching , Please drink the water ! (ジン、お水飲んで!)」
と、貴重な水を分けてくれた。
高所では水分補給は不可欠なのだが、彼女は、
「ゴラクシェプで補給しておいたから・・・」
と、惜しげもなく分け与えてくれた。

ほとんどダウン状態で、「登頂はあきらめろ!」と言うラジンの声を無視し、同じ目標を目指す仲間たちの暖かい応援、援助を得て、また、彼らのその気持ち、好意に応えるためにも、俺は一歩一歩ピークへと近づいて行った。
もうあとわずかだ。エルマー氏もイングリッドさんもほとんどピークに近づいてきている。

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何人ものトレッカーが、カラ・パタール目指して登っています。お互いに声かけあい、励ましあいながら、とにかく頑張るしかありません。次に踏み出す一歩が空気の薄さゆえ、本当に重かったです。それでも、ただひたすら、カラ・パタールを目指します。

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カラ・パタールが目の前に見えています。ゴールはもう間もなくです。

そして、ちょうど正午ごろ、とうとうヤッタ!

カラ・パタール登頂!

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ついに到達しました!カラ・パタール(5545m)の頂へ!思わず「バンザイ!」のガッツポーズ!エルマーも近づいてきました。


標高は5545mだ。俺に続きエルマー氏、そしてイングリッドさんも!
アンジュラさんが体調不良でゴラクシェプに残り、ここにいないのが残念だったが、
「シェルパシチュー・ファミリー」とか「インターナショナル・エヴェレスト・トレッキング・ファミリー」と、お互いに認め合っていた仲間の一員として、この目標を達成することができた。

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「やったゼ、エルマー!」。およそ2週間、楽しく過ごさせていただいたエルマーと!お互いに健闘を讃えあいました。

ジリ村からスタートして14日目。日本を出てちょうど1ヵ月。
今、俺は・・・多くの国際的友情に囲まれ、助けられ、8年越しの夢を実現させたのだ。

眼前には、エヴェレストがその偉容を誇っている。エヴェレストだけではない。プモリ、ヌプツェ…、7~8000m級の山々、白き神々の座が、要塞のごとく、立ちはだかっている。


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エヴェレスト(左奥)とヌプツェ(右)をバックに。これぞ、”夢・実現”の写真です。

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ロブチェ西峰をバックに。

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アマダブラムがひときわ高く見えます。

俺はついにこらえきれず、涙を流した。
「夢を実現した」だけでなく、ここまでの道のり、多くの友情・・・。
もし俺がたった一人、またはガイドとずっと二人だけで、他のトレッカーとコミュニケーションしていなかったら・・・、たぶん登頂できなかっただろう。

仲間たちはもちろん、名前を知らない多くの人たちに、俺は支えられ、助けられ、ここまで登ることができた。
このご恩は、一生忘れまい。忘れてはならない。
本当にありがとうございました。

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カラ・パタールからの雄大なヒマラヤの眺めです。最大限にズームして撮った写真を3枚つなげ、パノラマにしました。空が近いせいか、その青さが際立っています。

*この旅日記は1992年のものです。

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コメント

慕辺未行さんへ
こんにちわ
遂に「山男」の夢を達成されましたね
おめでとうございます
薄い空気との死闘 膝の痛みなどにも耐え
国際交流の励ましの言葉にも支えられながら
遂に到達したカラ・バタール バックの雄大な
ヒマラヤの山々 自然に溢れ出た感動の涙
よーく実感出来ました
貴重な記録 心して読ませて頂きました
有難うございます


古都人さんへ

ありがとうございます。
私自身決して『山男』ではありませんが、それでもこの『エヴェレストを間近に見たい』という夢が叶った瞬間、本当に感動しました。
1984年に初めてネパールを訪れ、遥か彼方にエヴェレストを眺めたのですが、その時は「どれがエヴェレスト?」と言うほど遠く、とても「エヴェレストを見た」とは言えないものでした。
道中、膝を痛め最後は高山病の症状が出ていたものの、約2週間行動を共にした仲間たちや名も知らぬトレッカー(私の名前は知られていました)たちに励まされたこと、今でも忘れません。
このような仲間たちに励まされ到達したカラ・パタール、景色だけでなく仲間たちへの感謝の気持ちが涙になったのかもしれません。

次週からはトレッキングの帰路、そして再びカトマンドゥでのことを書き綴っていきます。

投稿: 古都人 | 2013年2月14日 (木) 15時10分

ちょっと感動的な夢実現の瞬間ですね
ちびっともらい泣き゚(゚´Д`゚)゚


と~まの夢さんへ

文章がちょっとセンチメンタルかな (^_^;;ヘヘッ!
皆の励ましが本当に力となり夢を実現できました。
皆への感謝と、神々しいまでのヒマラヤの雄大な眺め、感動しました。

投稿: と~まの夢 | 2013年2月14日 (木) 16時23分

さすがに名峰、なんとも言えない美しさですね。
苦労の末たどり着いた喜びが全身に出ていますね。


agewisdomさんへ

何と言っても、この星・地球で一番高い山そして山脈ですから!
おそらくは、もう二度と訪れることがないであろうし、もう二度と肉眼では見ることがない景色・・・。
当時もそう思いながら、その喜びを感じていました。

投稿: agewisdom | 2013年2月14日 (木) 22時59分

慕辺未行さん   こんばんは
感動の目標達成ですね。
拝見していても、これまでの道のりは
少々の根性では行動出来ないもので、
体力だけでなく精神力の素晴らしさを感じています。
インターナショナルトレッキングファミリーの出会いが
大きな励みとなった事でしょうね。
挫折されずに良く頑張られましたね。素晴らしいです。
ヒマラヤの山々、素晴らしく綺麗ですね~
慕辺未行さんの語学力の素晴らしさは皆さんに
印象深く心に残った事でしょうね。


すみれさんへ

ハイ (^_^)!今振り返れば、ちょっと恥ずかしいかな?と感じるほど”感動的”でした (^_^;;ヘヘッ!
子供の頃は”虚弱”で、誰もが認めるほど軟弱でガリガリの痩せっぽちの私がここまで来られたのも、名も知らぬトレッカーや常に供にした仲間たちあってのことと、今も信じています。
このヒマラヤ・トレッキングを目指すにあたり、現在以上に体を鍛えていました。しかしヒマラヤは、私の努力の遥か上の存在でした。
それでも仲間たちの声が私を後押しし、ついに夢を実現できました。
私の語学力なんて、大したものではありませんが、それでも積極的に話すことによって、このような”力”を頂きました。

投稿: すみれ | 2013年2月14日 (木) 23時03分

おめでとうございます。
私などは、飛行機でエベレスト周辺を飛行しただけ
ですからこういう感動はありません。
同乗している人とも話もしないし・・・
でも途中一人だけ英語で話しかけてくれました。

これはマナスルを横に見ながら飛んだ時です。
英語であの山は日本人が最初に登った
と言われた時は嬉しかったです。

このころからのエルマーさんとのつきあいが
続いているのですね。


matsubaraさんへ

ありがとうございます。
自分の足で歩き続けて2週間。これほどたくさんの人たちに声かけられ、励まされながら、ここまで来られるとは思いもしていませんでした。
本当に感動しました。
マナスル登頂、1956年のことですね。私自身は切手で覚えた知識です。しかし、それを覚えている人がいて、やはり嬉しいですよね。
この当時、こんなに長い付き合いになるなんて、考えていなかったと思います。しかし今、この記事を振り返ると自然なことなのかもしれません。

投稿: matsubara | 2013年2月15日 (金) 13時33分

エルマーさんとは こういう経験を共にしているから 
単なる知り合いでなく 深い所でつながりあえるでしょうね・・
山は”諦めるのも勇気の一つだ”とTVのドキュメントで よく聞くので
ハラハラしながら 読ませていただきました
実際 無謀な?オートバイ日本人は 励まさずに諦めたらと
私は内心思いました~!
バレンタインデー、 収穫大でしたか??  主人はゼロです~sweat02


bellaさんへ

偶然に出会い、行動を共にして2週間。お互い”ムスタンコーヒーブラザーズ”と呼ばれたりし、最後は苦労を共にしエヴェレストを見たのですから、現在も続く付き合い頷けるかもしれません。
>山は”諦めるのも勇気の一つだ”
私も日本の山を登るときはいつも”単独行”でしたので、「もし、体調・装備に少しでも不安があれば、諦めなさい」をモットーにしていました。
しかしここでは・・・私の答えは「行くしかない!」のでした。
エヴェレスト登山も近年はかなり様変わりしたようで、どんな素人でも大金(何百・千万?)を出せば、すべてお膳立て”至れり尽くせり”のツアーでエヴェレストの頂上に立つこともできるとか?!
それこそ、やめてもらいたいと思います。
バレンタイン・・・今”プー太郎”の身の私は、収穫0です (^_^;;

投稿: bella | 2013年2月15日 (金) 17時09分

すごいすご~いshine
ドキドキしちゃいましたhappy02
山登りでは互いの元気づけがなによりの薬ですよね~
人と人とのつながり、人を思いやる気持ち・・・素敵です
抜けるような青空を背景に、そびえ立つ山々
もう最高ですね~good


きゃぶさんへ

苦しかったですが、仲間たちの声や援助が力になって、目標達成できました。
ヒマラヤだけでなく国内の山登り・山歩きでも、すれ違う人同士、声かけ合ったり励まし合ったり・・・、よくありますよね。
きゃぶさんにもそのような体験、何度かあると思います。
いつかはきゃぶさんも、エヴェレスト・トレッキング、チャレンジしてみてください。

投稿: きゃぶ | 2013年2月15日 (金) 20時51分

ついに目標達成ですね。
おめでとうございます。

高山病など大変な思いをしながらもご自分の足でここまでたどりついたことや、お互いに助け合えるお仲間との出会いは一生の宝物ですね。
英語だけでなくネパール語も話される慕辺未行さんの国際交流にも感心しながら読ませていただきました。


みーこさんへ

ありがとうございます。
初めてネパールを訪れた時、ナガルコートの丘(たぶん、ご存知ですよね?)から遥か彼方にエヴェレストを眺めたのですが、それ以来の夢が叶いました。
英語もネパール語もどちらもカタコトレベルですが、物おじせず積極的に話しかけていったことが、よい仲間たちに巡り合えたのだと思います。
この日のことは20年以上経った今でも忘れられない1日です。

投稿: みーこ | 2013年2月16日 (土) 00時31分

>山は諦めるのも勇気の一つ

雪山などでは天候の急変もあるし、
本当にそのようですね。
野口健さんや植村氏の本を読んで
つくづくそう思いました。
慕辺未行さんの勇気と頑張りもさることながら
幸運も味方してくれていたのでしょうね。
よかった、よかった。


zooeyさんへ

一生のうちでもう2度と来られないかもしれないところですからね。本来ならばガイドの言うとおり『エヴェレストが見えた』時点で諦めるべきだったでしょう。
しかし周りの仲間たちの声や援助、それに応えるためには、行くしかありませんでした。
『山の天気は変わりやすい』とよく言われますし、毎年のように山での遭難の事故を耳にします。
日本の山に登っているときに、体調や天候に異変があったら、私はいつも諦めていました。
私の場合、ほとんど『単独行』でしたので、何かあってからでは遅いのです。

投稿: zooey | 2013年2月16日 (土) 01時27分

旅日記を拝見しながら、ここまで一緒に登ってきたような
気持ちになって、本当に感動しました!
人間の力を超えた雄大な自然ももちろん素晴らしいですが、
この仲間がいたからこそ・・・と思える人達との出会いは、
何よりの宝物ですね!shine
こんな経験を重ねて生きてきた慕辺未行さんなら、
きっと、どんな人生の高い山でも登れますよ!
貴重なお話と写真の数々を、どうもありがとうございました。
ところで、エヴェレストをバックにした慕辺未行さんの写真
(特に2枚目)、カッコイイですね~heart04


hananoさんへ

自己満足だらけの拙い旅日記ですが、これを読んで疑似体験できたように感じて頂けたら、大変嬉しいです。
この大自然もさることながら、出会った人々も素敵な人たちばかりで、彼らのお蔭で本当に最後まで頑張れたのだと思います。
この経験、私にとっては確かに大きな宝物ですが、しかし本来ならばその年齢は、働き盛りのころ。自由気ままにここまで旅しに来た私より、まじめに働くサラリーマンのほうがずっとスゴイと思います。
せっかくですので、日記だけでなく少しでもヒマラヤの景色やトレッキングの様子を見ていただきたく、写真も豊富に紹介しました。
2枚目の写真、と言うと座りこんでいる写真ですね。頭だけ見え始めたエヴェレストを眺めているところです。バックに見える山はプモリという山です。

投稿: hanano | 2013年2月17日 (日) 10時27分

慕辺未行さん今日は
カラ・バタールの登頂おめでとうございますヽ(´▽`)/
凄いですね・・5000m以上の登山、空気の薄さとの戦い
しかしまじかにエヴェレストの山頂も見えて感動ですね
他のトレッカーの人達も皆さん思いは同じ、ここて下山は
NO・・私も思いは同じです。負けてたまるか
此処まで来てですね・・そして皆さんの熱い友情が
嬉しいですね、大切な補給食品まで下さって感激ですね
そしてお水も頂いて、もうひと頑張り重い足をひきずって
何としてもの思い私も同感です・・この文の中で応援しています
カラ・バタールは目の前、そして登頂万歳・・・・おめでとうございます八年越しの思いの実現と熱い友情
これも慕辺未行さんのお人柄でしょう
何せよかった・・・感動です


咲子さんへ

ありがとうございます。
カラパタール登頂、と言ってもここは本格的な山ではなく、ガイドや現地の人々に言わせれば『丘』。富士山よりはるかに高いのに!ですヨ(笑)
空気の薄さは一歩踏み出す足の重さが、それを感じさせました。イングリッドさんから頂いた一口の水、それだけでしばらくはスタスタと足が動くのです。
栄養補給食品、これも本当に嬉しかったです。彼らはガイドとさらに数名のスタッフを雇い、ロッジではなくテント泊で私たちと同じ日程でここまでやって来ていました。
それだけに彼らも私には大切な仲間でした。
一生に一度来られるかどうかのところへ、このような形で来ることが出来て、この時一緒だった人々すべてに感謝!です。

投稿: 咲子 | 2013年2月17日 (日) 15時00分

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