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2013年1月17日 (木)

日本人ツアー客(再掲)

午後のひと時をそれぞれのんびりと体を休めていたときのこと。ロッジのオーナーとラジンが深刻そうな顔で、何やら話している。彼らの会話の中から「ジャパニーズグループ」という声が聞こえた。

俺は彼らに
「どうしたんだ?何かあったのか?」と尋ねると、
「今夜、16人の日本人のグループがここで泊まることになった。そこで隣のロッジがオーナーの兄弟が経営しているので、そちらへ移ったらどうか?」と言う。

俺はすぐに決断した。16人ものグループツアーとは一緒になりたくなかったから!俺たちの会話を「何事か?」と思ったのか、トーァリンゲン夫妻とイングリッドさんもやって来た。彼らにも同じ説明をする。

「dsching、君はどうするんだ?」とエルマー氏。
「もちろん(隣へ)移動する。君たちは?」と聞くと、
「君が移動するなら、俺たちも移動するよ!俺たちはもう仲間じゃないか!」と答えてくれた。

俺は彼らに、俺が知っている限りの日本人ツアーのタチの悪さを説明した。参加者のほとんどがツアーリーダー任せ、そのくせ何か問題が起きたら文句ばかり。さらに自分たちだけの世界を作る、日本語しか使わない、他の人々とコミュニケーションしようとしない、もしかしたら俺たちに対して「ハロー」さえも言わないゾ、と。

そして、干してあったシュラフを片づけ、荷物をまとめ、となりのロッジへと移った。まったく、いい迷惑だ!俺は仲間たちに対して、

「申し訳なかった。同じ日本人として謝るヨ」と言うと、彼らは口をそろえて、

「dsching、君が謝ることないじゃないか!君は何も悪くない!君は彼らとは違う。インターナショナルだ!」と言ってくれたのだ。彼らは英語がへたくそな俺でも、「国際人」「仲間」と認めてくれた。本当に嬉しい!

俺たちが初めに泊まる予定だったロッジに、16人のグループが到着した。ロッジの前で記念写真を撮り始めた。16人といっても、もとはバラバラなのだろう、それぞれのカメラで同じ写真を撮っている。その様子を不思議そうに眺めているトーァリンゲン夫妻やイングリッドさん、そしてシンガポール在住のフランス人夫婦。

「自分たちも写真を撮ろう!」とエルマー氏が言うと、俺はカメラマン役を買ってでた。

Img203
初めにチェック・インしたロッジに日本人の団体ツアーが泊まることになり、オーナーの勧めもあってすぐ隣のロッジへと皆で移動しました。キャンプをしながらトレッキングしているフランス人夫婦と我が仲間たちです。

その後は再び、自由に過ごす。このロッジにピーチワインがあると聞き、するとイングリッドさんが「私も飲みたい!」と言うので、一緒に飲んでみた。アルコール度数はやや高めだが、おいしかった。

ロッジの前のキャンプサイトでは、この日カトマンドゥからルクラまで飛行機で、そしてここまで歩いてきたというアメリカ人夫婦。彼らに「ハロー」とあいさつすると、「ハロー!あっ、こんにちは!」と日本語でもあいさつされた。俺はびっくりして、「こんにちは!」と言うと、「やっぱり日本人ですネ!」と、とても流暢な日本語が返って来た。

彼らは以前、京都に3年住んでいたことがあるそうだ。ご婦人は日本語がとても上手なのだが、ご主人は全く話せないらしい。彼らに16人の日本人グループのことを話すと、彼らもほぼ同感。ここまでの道中、何度か彼らと会っていたのだが、ほとんど誰も声かけようとしなかったらしい。

ご婦人はさらに、「日本人はせっかくの休みを、どうして自分のために使わないのか、なぜグループで行動するのか、とても不思議です。」と話していた。日本でもそのような光景を、何度も見ているからであろう。

そして私に対して、「あなたは今、トレッキングをしているけど、同時に英語の勉強もしてるでしょ?」と話した。

「英語の勉強?・・・あっ、そうか!」
「そう!だって英語でないと(仲間達と)コミュニケーションできないでしょ?」

言われてみれば、確かにそうだ。俺と仲間たちとの会話は常に英語。トレッキングをしながら英語の勉強、それも「生きた英語」を実践している!

「とても大事なことですヨ」と、ご婦人は話してくれた。

しばらくして付近を散歩していたトーァリンゲン夫妻が戻って来た。彼らは開口一番こう言った。

「dsching、君の言ったとおりだよ」と。

「何が」と思って聞いてみると、彼らは戻ってくる途中、ツアーで来ている日本人2人とすれ違ったらしい。日本人2人は前から歩いてくる彼らと目を合わせないようにしていたようだ。そこで、トーァリンゲン夫妻のほうからすれ違う直前に「ハロー!」とあいさつしたらしい。その時2人の日本人は、全く予期していなかったのか、びっくりしたようにあわてて「ハ・ハ・ハロー」と答えたそうだ。

俺が「”ハロー!”さえも言わないゾ」と話していたとおり、その日本人たちは挨拶しようとしていなかったのだ。トーァリンゲン夫妻は身をもってそれを実感したようだ。

だからこそ、逆に俺に対する皆の評価が高まったようだ。昨日の学生風の男3人組といい、今日のツアーグループといい、あまりにも恥ずかしい。「言葉ができない」のは俺だって同じ。でも、人として最低限、挨拶ぐらいできなくてどうする?海外へ来るのなら、もっとインターナショナルになれよ!

ここパクディンの村も、電気はまだない。明るいオイルランタンの下で夕食。もちろん、いつもの仲間たちとともに!そしてトランプ。いつもやっている「クレージー8(ページュ1と同じ)」ばかりではつまらないので、この日は「七並べ」。

ラジンは初めのうちの2~3ゲームは見ていたが、すぐにルールを理解したようで、当然「俺もやる」と言ってゲームに加わった。

「ねぇ~、だれ~?ここ止めてるのは?」
「さぁ?私じゃないわヨ!」
「知らないなぁ?」
「パス、何回までだった?」

などなど、にぎやかな笑い声がダイニングルームに鳴り響く。

そして就寝前、明日の出発時間の打ち合わせ。

「日本人ツアーグループより先にスタートしよう。人数も多いしペースも遅いだろうから、追い抜くのは大変だ。」
「じゃぁ、何時に起きて何時に出発する?」
「6時起床。7時半、遅くとも8時までには出発した方がいいだろう。」
「OK!」

そして床に就く。


パクディン・サンライズロッジにて

*この旅日記は1992年のものです。

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コメント

慕辺未行さんへ
こんにちわ
3日分改めて続けて拝読しました
国際交流の慕辺未行さんの素晴らしさ
そして図らずも日本人グループの国際
交流の無さ それが日本人の外交下手
でしょうね 良く耳にする話です
現在では英語を社内の共通語としている
幾つかの会社がある様ですが
そんなことが英語を共通性とされている
理由だと判りました
膝の痛みが心配ですね


古都人さんへ

若気の至りでずいぶん生意気なことを言っていますが、当時は本当にそう思っていました。
決してすべてのツアー客がそうではないでしょうから、「ちょっと言い過ぎたかなぁ」と、今は感じます。
私は本当に、決して英語は得意だったわけではなく、むしろ苦手だったのですが、それでもポケット英和辞典を忍ばせながらコミュニケーションしようとしていました。
今はグローバルな時代ですし、世界を相手にする企業であれば、英会話は必須でしょうね。

投稿: 古都人 | 2013年1月17日 (木) 16時29分

とぉっても耳が痛いです・・・
団体行動ばかりで、現地の方々と交流しようとしない日本人の1人ですdown
英語ができないからといって、言い訳にならない・・・ですよねぇ
せめてニッコリ微笑むようにしなくっちゃあsweat01
学校であんなに勉強したはずなのに、どうしてこんなに英語ができないんでしょうwobbly


きゃぶさんへ

今思えば、すべての人に当てはまるわけではありませんし、若気の至りでちょっといきがっていましたね。
私も中・高・大学で英語を学んだはずなのに、ホント恥ずかしいほどのレベルでしか話せませんでした。私の頃の英語教育って、文法主流で『英会話』ではなかったですから!
それでも図太いというのか、図々しいというのか、あの程度の英語力でコミュニケーションしていたものです。

投稿: きゃぶ | 2013年1月17日 (木) 21時11分

日本人として少し恥ずかしいですね。
当時と今も殆ど変らないでしょうね。
島国根性というか・・・
排他的というか・・・
国内でそういう人が多いから突然に
変わることは出来ないですものね。

という私は、と言いますと、団体で行きました
ボランティアの時はとても楽しく交流しました。
個人では、スペインで知り合ったスペイン人女性と
賀状交換を10年していたのですが、ご高齢で
今年は来なかったです。


matsubaraさんへ

若気の至りでずいぶん生意気なことを言っていましたが、しかしせめて「ハロー」ぐらいは言って欲しかったです。
日本国内でも、山登りしていると、すれ違う人々と挨拶をすると思います。
挨拶をすべき、またはしたほうが良いシチュエーションと、そうでない場面があると思います。
「団体で」とおっしゃってもmatsubara様の場合、ボランティアですし、現地の方の自宅を訪問されたり、交流なさっていますから、私が出会った類のツアーとは全く異なりますね。

投稿: matsubara | 2013年1月18日 (金) 18時16分

先日外国人講師がこんなことをいっていました。
新しく英語を習いに来た人が、外国へ行きたくて行ったのですが最初にファーストフードのお店で聞かれたことはわからない注文はできないで、もうビビっちゃって1週間ほとんど持って行ったカロリーメイトで過ごして、それで、英語を習う決心したって言っていたって。
特殊な例かも知れませんが一人でなんとか意志を伝えられるくらいにはしておかないと困りますね。後は度胸だから。衆を頼んでの旅行でなんとかしていては旅行の楽しみは半減しちゃいますね。


agewisdomさんへ

1週間カロリーメイトで過ごしたというのは極端すぎると言いましょうか、大袈裟に言っているのでは(身振り手振りで注文できたのでは)?と思いますが、それでもそれがきっかけで英語を学ぼうという意志・意欲は素晴らしいです。
英語教育を全く受けていない世代の人ならまだしても、そうでなければ最低限のことは言えないと、ですよね。
ツアコンなどに任せっきりでは、ガイドブックに載っていることを実際に見て確認するだけ。小学生の修学旅行と何ら変わりませんよね。

投稿: agewisdom | 2013年1月18日 (金) 22時52分

「日本人」と一口に言ってもいろいろな人がいるでしょうし、
事情によっては、ツアーでしか海外を訪れることのできない方も
いらっしゃるかもしれませんから、一概に非難する気はありません
けど、私自身も、団体さんのツアーに参加する(場合によっては
〝巻き込まれる〟)のは、大の苦手ですcoldsweats01sweat01
それこそ、旅の楽しみ、半減(か、それ以上!)といった
気持ちになることか・・・(笑)
しかし、いずれにしても、挨拶は、人間同士の交流の
基本ですよね!
英語力や語学力のレベルといった話じゃありません。
私も、まったく言葉のわからない国へ行く時でも、一日の挨拶と
お礼の言葉だけは暗記して行くようにしています。
また、留学中には、必要以上に同国人を避けてツンケンする
日本人学生も、「あちゃ~shock」・・・と思うような行動をとっている
日本人観光客も、どちらも目にする機会がよくありました。
自然な形でその場所に馴染み、自然な形でだれとでも
コミュニケーションをとることができれば、理想的なんですけどねhappy01


hananoさんへ

ホント仰る通りなのですよネェ!
若気の至りで言いたいこと言ってたような、ちょっと調子に乗り過ぎてた感があります (^_^;;
私は今まで修学旅行や慰安旅行以外では団体旅行ってしたことがありません。
やはり旅は自分の好きなようにしたいですから!
何もかもお膳立てされた旅行なんて・・・(>_<)イヤ!
挨拶、これは人間同士の交流の最も大切なことですよね。
私も海外へ行くとき、せめてその国の言葉で「こんにちは」「ありがとう」ぐらいは言えるよう事前に調べておきます。
海外で、同じ日本人を見てツンケンする人、確かにいますよね。もしかしたら私もそうだったかも・・・(^_^;;アセッ
しかし声かけられれば、ちゃんと応対しますし、相手が日本人であろうとなかろうと、普通にコミュニケーションしていたつもりです。でも相手はどう感じていたか・・・?ですね。反省しなければ!

投稿: hanano | 2013年1月19日 (土) 16時04分

今回も 面白く読ませていただきました~
早く着いたら もう少し先に進もう、と うちの主人ならきっと
言うに違いありません・・  (がっつき、なんです・・coldsweats01

日本人のツアーは 全ておっしゃる通りですが
とにかく 国境が他国と接してないので、経験不足なんですねツアーになると 輪をかけて 心が内向きになるし・・・

主人に今度はツアーで行こうと 毎度ささやかれています
どないしょ!!   


bellaさんへ

この次の日の行程を考えると、本当はもう少し先まで進んだほうが楽なのです。
しかし皆それ以上進まなかったのは、ガイドブックのモデルスケジュールと同じように行こうと考えていたでしょうし、仲間同士一緒のほうが楽しいということもあったでしょう。
日本人ツアーに対しては、若気の至りでちょっと言い過ぎた感があります。すべての人がそうとは言えないでしょうから。
それに団体で来ている以上、協調性も必要でしょうし一人だけ勝手な行動を取ったり浮いた存在になるのは避けたいでしょうからね。
ご主人様、そろそろ自分たちで何もかも手配する旅に疲れてきたのでしょうか?

投稿: bella | 2013年1月19日 (土) 17時18分

こんばんは。
コメントがほんとお久しぶりになってしまいました。
その間に旅の行程もだいぶん進んでいるようですね。
日本人ツアー客の行動、自分自身のことを振り返って
みて耳が痛いなぁと思ってしまいます。
団体での旅行だけでなく、自分の場合は一人旅の時も
そんな傾向が多いように思います。
もっといろんな人たちとコミュニケーションをとって旅を
楽しまないといけないなぁと思います。


Junjiroさんへ

働き盛りのJunjiroさんですし、そろそろ年度末。お忙しいのは分かりますから、決して無理しなくていいですよ。
時間が取れるときに”まとめ読み”して下さい (^_^)!
この記事に書いてあること、今思えば本当に『若気の至り』で、同じ日本人に対してちょっと言い過ぎたと反省しています。粋がってたのかもしれませんネ。
旅に出た時、その場所や雰囲気など、挨拶したほうが良い場面と、かえって変に思われる場面があると思います。
しかしいずれにしても、相手から挨拶された時の嬉しさ・心地よさは思い出に残っています。
挨拶だけの一瞬の一期一会も、とても素敵な思い出として残りますヨ。

投稿: Junjiro | 2013年1月19日 (土) 21時30分

慕辺未行さん  こんばんは
膝の痛みは気がかりですが、それでも毎回ワクワクで
旅日記を楽しませて頂いています。
日本人旅行者のマナーの悪さ
団体旅行の場合は特に目立つのかもと思ったりしています。
出会う人への挨拶は当然の事ですね。
日本では声掛け難くても、旅の楽しみも手伝って
海外では気軽に出来る気がします。
相手の方の表情が凄く和やかな方が多いのです。
路上で出会う方への一言の挨拶で、それから続いている
お付き合いも有ります。
生きた英語のお勉強、トレッキング以外でも多くの事が
学べる素晴らしい旅ですね。
乳白色の川、見てみたいですね


すみれさんへ

この年(50才)になってこの旅日記を読みますと、我ながら「生意気なこと言ってたなぁ」と感じます。
すべての日本人ツアー客が決してそうではないでしょうから!
でも挨拶ぐらいは・・・ねぇ!「ハロー」を知らない人なんていないでしょうから!
たった一言の挨拶で、お互い気持良くなれるものですし、一期一会の出会いも印象深く残りますよね。
私も海外の列車の中、地図を見ながら歩いていた時など、相手から声かけられ、とても楽しい思い出がずいぶん出来ました。だからこそ、自分からも積極的に声かけねば!と思います。
このトレッキングは、ただ単に歩いているだけでなく、本当に色んな事を体験し学ぶことができた旅でした。

投稿: すみれ | 2013年1月19日 (土) 22時52分

私自身、団体旅行は嫌いですし
外国人の友人と個人的に付き合っているから
仰ることはよくわかります。
英会話と学校英語はまるで違うし、
とにかく喋れないから、と外国の人と交流を持とうとしない日本人が多いことは事実ですね。
恥ずかしがり屋の国民性もあるでしょうし。
せっかく海外に行ったのに勿体ないなあと、私もよく思います。
東南アジアの人たちが文法も何も滅茶苦茶な英語で
しかしともかく喋ってる姿を見ると
逞しいなあとつくづく思います。


zooeyさんへ

オォーッ w(^o^)wワォッ!
コメント拝見し、私とほぼ同じ考えだったので、とても嬉しくなりました。
ほぼ同じ世代ですから英語教育も『文法』中心で、『英会話』の授業はなかったのでは?と思います。
私も当時、文法なんて考えず、とにかく伝えたいことを思い出せる限りの単語を並べて会話していたように思います。
それでも何とかなりましたからネェ・・・不思議なものです。
英会話が苦手なのは、ある意味『国の責任』もあるかもしれませんネ。私たちが受けた英語教育ではとても「会話」できる教育ではなかったのは事実ですから!
それでも、挨拶ぐらいはして欲しかったです。

投稿: zooey | 2013年1月20日 (日) 01時05分

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