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2013年1月23日 (水)

ムスタンコーヒーブラザーズ(再掲)

我々5人は、そろって昼食にする。メニューを見ると、ステーキがあるではないか!

「ヨシ!昼食はこれに決めた!」

ヤク(牛の一種。3000m以上の高地に棲み、毛が長く寒さに強い。)のステーキである。久しぶりの肉。量は少ないものの、おいしい!肉に飢えてたからなぁ!普通のビーフステーキとなんら変わりない。ホントにおいしかった。

昼食後、3日ぶりにシャワーを浴び、トレッキングに出て以来、初めて衣類を着替えた。そして洗濯。ここナムチェでは2泊の予定だから、ここで今のうちに洗濯しておかないと。俺がシャワーを浴びている間、村の散策に出かけていたトーァリンゲン夫妻とイングリッドさんが戻って来た。

「ヘイ、ジン。何をやってるんだ?」
「洗濯だよ。ここで2泊するだろ?だからさ。」

すると彼らも「なるほど」と思ったのか、同じように洗濯を始めた。もちろん、手洗いだ。洗濯機なんてあるわけがなく、バケツに水と洗剤を入れ、手でゴシゴシ。天気は今一つだが、明後日のスタート前までに乾けばいいのだから、大丈夫だろう。その後は、のんびりと体を休め、やがて夕食。

俺は昼食同様、またしてもヤクステーキにした。ホントにおいしかったし、量が少なかったので、また食べたくなったのだ!食事を終え、ちょっと寒かったのでストーブのそばで暖をとっていたら、エルマー氏が俺を呼ぶ。毎晩のように交わされる会話だ。

「Hey Dsching ! Do you want to Mustang Coffee ? (ヘイ、ジン!ムスタンコーヒー飲むかい?)」

これだけで俺を始め、ラジンやアンジュラさん、イングリッドさんも「また?」とばかりに大爆笑!

「Elmar , do you want ? (エルマー、君は?)」
「If you want , I want. (お前が飲むのだったら、俺も飲むよ)」
「I also , if you want , I want . By the way , is that the menu ? (俺もだよ。君が飲みたいなら俺も飲むよ。ところで、メニューにあるかい?)」
「No menu ! (メニューにはない!)」
「Yes , O.K. I will ask the boy . (わかった。じゃあ俺がボーイにできるかどうか聞いてみるよ)」

俺はそう言って、ロッジの厨房へ入って行き、キッチンボーイに尋ねてみた。メニューにロキシーもブラックコーヒーもあるのだから、この二つをミックスすればムスタンコーヒーになるので、当然できるはずだ。

しかし、メニューにないものの値段をどうするかだ。ボーイたちは相談して決めた。1カップ30ルピー。今までのところに比べると、やや高いな!

俺はエルマー氏に、
「They can Mustang Coffee available . But... a little bit expensive , 1 cup 30 Rs . (ムスタンコーヒーできるのだけど、ちょっと高いんだ。1杯30ルピーもする。)」
と、説明し、飲むかどうか相談する。

二人とも、さっきと同じ会話だ。お互い「飲みたいなら飲もうゼ(つきあうゼ)」ということだ。同じ考えで、二人してニヤリと笑い、当然のようにこの夜もムスタンコーヒーを飲むこととなった。

毎晩二人で飲む俺とエルマー氏を、奥さんのアンジュラさんは
「Dsching, you and Elmar are "Mustang Coffee Brothers ". (ジン、あなたとエルマーは ”ムスタンコーヒーブラザーズ”よ)」
と、命名してしまった。もちろん、イングリッドさんも
「Yes , I think so . (そう、私もそう思うワ)」
と、笑っていた。


ナムチェ・シェルパトレッカーズロッジにて

*この旅日記は1992年のものです。

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