シェルパシチュー(再掲)
ロッジのディディ(お姉さんの意味)が夕食の注文を聞きに来た。
昨日、一昨日と実は気になるメニューがあった。それは "シェルパシチュー " 。
そこで、そのシェルパシチューを注文する。
しかしディディは「シェルパシチューは一人分だけでは、作れない」と言う。
俺は一緒にいたカナダ人のイングリッドさん、ドイツ人のトーァリンゲン夫婦に
「シェルパシチューを食べてみないか?」と声かけた。
彼らは「シェルパシチュー?どんなシチューだい?」と聞く。
「さぁ?、俺も知らない。だからこそ食べてみたいんだ!」と答える。
彼らはディディに、シェルパシチューってどんな料理かを尋ねていた。
そして彼らは、「OK!食べてみよう!」とみんな賛成し、4人で注文した。
我々のテーブルに、シェルパシチューが運ばれてきた。
見てみると、カレーうどんか、カレーラーメンか、のようだ。
実においしそう!
俺だけでなくイングリッドさんもトーァリンゲン夫婦のエルマー氏 、アンジュラさんも同じ思いのようだ。
食べる前に我々は写真を撮ることにした。
ガイドのラジンにカメラを渡し、4人でシェルパシチューを前に
「We are Sherpa Stew Family ! 」と言いながら、初めて一緒に写真を撮る。
前日、セテ村のロッジで親しく話をしていた仲間たちと。シェルパ・シチューという郷土料理を皆一緒に注文し、食べました。これがきっかけで、彼らとはとても仲良くなりました。
左から、アンジュラ、イングリッド、エルマー、そして私。
そして、シェルパシチューのお味は・・・、
「うまい!」
俺だけでなく、彼らも同じだ!
「Oh ! Very good ! 」
「Wao ! Very Delicious ! 」
「Dsching ! Nice Idea ! 」
かくして、4人の " シェルパシチューファミリー " が結成された。
夕食後、音楽に合わせてシェルパダンスをさせられそうになる。
そしてとうとう、他のトレッカーとともに踊るハメに!
イングリッドさんやトーァリンゲン夫婦は大爆笑!
ダンスの後、ラジンとフランス人の男のガイドが俺を呼ぶ。
彼らは俺に " ムスタンコーヒー " を勧めた。
「ムスタンコーヒー?どんなコーヒーだい?」
飲んでみると…、確かにコーヒーなのだが…、あれ?おい・・?
「ロキシー(ネパールの焼酎)が入ってるんだよ」
どおりで酒っぽいコーヒーだ!でもウマイ!
これはいい、最高にウマイ!
一緒にいた仲間たちにも勧めてみるが、匂いのせいか女性たちは敬遠!
エルマー氏は大丈夫のようだ。
ガイドたちの話によると、このムスタンコーヒー、飲みすぎると翌日起きられなくなる、とか。
ふと見ると、ラジンが横になってウトウトしている。
まさか酔いつぶれたわけではなかろう。
それを見たエルマー氏は、
「あそこで寝ているのは、君のガイドだろう?」
「あぁ、そうだよ!」
「オォ!ムスタンコーヒー!」
と、ひときわ大きな声で叫んだ。
エルマー氏はきっと、「ムスタンコーヒーの飲み過ぎで、酔いつぶれてるゼ!」
と言いたかったのだろう。
エルマー氏がそう叫んだ途端、ダイニングルームは大爆笑に包まれた。
私はもちろん、イングリッドさんもアンジュラさんも、さらには他の宿泊者、ロッジの経営者たちまでもが、彼が言ったジョークに大笑いしたのだ!
そこに居合わせていた人々すべてが、一同に笑い合った!
国境も国籍も、言葉も超えて・・・!
なんて素敵なことなんだろう!!
ジュンベシ・シェルパガイドロッジズにて
*この旅日記は1992年のものです。
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コメント
シチューファミリーなんて素敵ですよね。「一つ釜の飯」食っちゃったんだものねえ。
これが長いお付き合いの始まりですね。
agewisdomさんへ
あの時皆で同じものを食べた時の楽しさ、今も忘れられません。それに本当に美味しかったので、皆からも感謝されましたしね。
彼らとこれほど長い付き合いになるなんて、あの時は想像さえしていなかったでしょう。人との出会いってホント、分からないものですね。
投稿: agewisdom | 2012年12月27日 (木) 20時11分
慕辺未行さん今晩は
少しご無沙汰に成りました今回は
シェルパーシチューのお話、何よりお友達の皆さん
が一緒に食べて下さって良かったですね
でも吃驚シチューなのにカレーうどんかラーメンの様とは
外国はそんな事ざらですか・・でもお味も良かったしOKですね
写真もいい記念に成りましたね・・ダンス何故爆笑なのかな・・
そしてお酒入りのコーヒー大分度がきつそうで
女性はうっかり知らない物は飲めませんね・・怖い
でガイドさん本当は如何だったのでしょうね・・
国境も国籍も違う人達が仲良く成れるなんて
最高・・言葉が通じるって素敵なことですね
咲子さんへ
半ば冗談で提案したと思うのですが、皆も乗ってくれて楽しかったです。
シェルパシチューは、他の村のロッジでもこの後食べましたが、場所や作る人によって様々でした。ここではカレーうどんのような麺類でしたが、おじやのようなところもありました。
シェルパダンスというのがあるのですが、踊り方なんて知らないし、見よう見まねでやっていたので、きっとぎこちなさすぎたのかもしれないです。
ムスタンコーヒー、ロキシーというネパールの焼酎にコーヒー(砂糖入り)が入っているのですが、ロキシーそのものの匂いが日本の焼酎同様にきついので、女性はその匂いで敬遠していました。
私は今でも寝酒に焼酎のコーヒー割、つまりはこのムスタンコーヒーを飲みます。
トレッキング中はどこの国の人だろうと、皆仲間!という雰囲気でした。この日の夜のことは20年以上経った今も、脳裏に残っています。
投稿: 咲子 | 2012年12月27日 (木) 21時41分
わぁこれがご夫妻との馴れ初めだったのですね
シェルパシチューファミリー
皆さんのとっても温かく楽しそうな雰囲気が伝わってきます
シチューといい、コーヒーといい
外国で何が入ってるかよくわからない食べ物に挑戦するなんて・・・食の面でもチャレンジ精神旺盛なんですね
すっごいなぁとても真似ができません
きゃぶさんへ
はい、彼らとはこの前日の夜初めて出会い、親しくしゃべっていましたし、この日も同じところに泊まりましたので、やはりまた一緒にしゃべっていました。
そしてシェルパシチュー。彼らも私の提案に乗って一緒に食べてくれて、すっかり意気投合!長い付き合いの始まりになりました。
シェルパシチューは、この地方に住む人々(シェルパ族)の郷土料理では?と思って、どんなものか食べてみたかったのです。
ムスタンコーヒーはガイドたち(私のガイドとフランス人男性が雇っているガイド)に勧められました。この2人のガイド、この前日もこっそりロキシー(ネパールの焼酎)を勧めました。
投稿: きゃぶ | 2012年12月27日 (木) 21時59分
慕辺未行さん こんばんは
旅日記でのお食事の話題は凄く興味深いです。
慕辺未行さんは食べ物の好き嫌いが無いようですね。
好奇心旺盛で食べ物以外でも
現地に溶け込んで楽しまれている様子が見て取れます。
ロッジでの団欒のご様子、凄く楽しそうです。
シェルパシチュー、美味しそうですね。頂いてみたいです。
皆さんとのダンスにムスタンコーヒーなど
楽しいひと時ですね。
国籍が違っても皆一つに成れることは素晴らしい事ですね。
すみれさんへ
食べ物の話、他の皆様もきっと「どんなものを食べていたのだろう?」と思われているかもしれませんね。
好き嫌いは昔は多かったですヨ。しかしあちこち旅するようになって、ずいぶん克服しました。
彼らとはこの前日の夜も親しく話をしていましたし、この日も同じロッジに泊まったとなれば、自然に皆集まります。
そして私の提案で一緒に食べたシェルパシチュー。カレー味はどの国の人にも無難なのでしょう、香りも「美味しそう」な匂いでした。
この日の夜のことは、こうして『旅日記』に残しているせいもありますが、今でもはっきりと覚えています。
本当に楽しい夜でした。
投稿: すみれ | 2012年12月27日 (木) 22時16分
慕辺未行さんへ
お早うございます
ますます国際交流が深まって来ましたね
お写真からメンバーの様子が判りましたし
それらから雰囲気も想像出来ました
それにしても慕辺未行さんの度胸の良さに
感服です 食べ物や飲み物にも結構順応性が
おありなのですね
古都人さんへ
トレッキング中は、たとえ知り合っても次の日の目的地や泊まるロッジが違うことはあって当たり前なので、前日親しく話していたメンバーがそろってまた楽しく過ごすことが出来ました。
私も積極的に話しかけていましたが、彼らも同じでした。エルマーは本当に冗談が好きな面白い人でしたよ。
実は私は高校生ぐらいまでは、『超』がつくほど偏食で、好き嫌いの多さは右に出るものがいないほど!でした。
それがあちこち旅するようになって、いつの間にか好き嫌いもずい分なくなりました。
ヒマラヤ麓の山間部の村ですから、メニューも限られていますし、食べたことがないものはまずチャレンジ!でした。
投稿: 古都人 | 2012年12月28日 (金) 06時28分
よく絵葉書が届くエルマーさんとの
おつきあいはここから始まったのですね。
もう20年も続いているとは素晴らしいです。
その間ドイツに行かれたり交流が継続
しているのですね。
私のペンフレンドだった英国の女性とは
とうとう途絶えてしまいました。
40年は難しかったです。
30年くらいは続きましたが・・・
私が忙しくてバースデーカードを送らなかった
のが原因でした。
そのカレー入りのそばを一度食べて
みたいです。シェルパシチューでしたね。
matsubaraさんへ
はい、エルマー&アンジュラとの付き合いは、こんな雰囲気で始まりました。
しかし当時、まさかこれほど長い付き合いになったり、まして3度もドイツを訪れ再会を果たすなど、思いもしなかったでしょう。
しかも一度は母親をも連れて行ったのですから!
つい先日もメールでクリスマスメッセージが届いていました。
しかしこのような付き合いも、今では彼らだけです。
ドイツと日本、イメージ的にはどこか似たような国民性を持っているように思います。歴史的にも他のヨーロッパ諸国に比べ、かなり友好的ですしね。
長い付き合いの背景には、このようなことも理由の一つとしてあるのかもしれません。
シェルパシチュー、本当に美味しかったです。カレー味は万国共通に人気なのですね。
投稿: matsubara | 2012年12月28日 (金) 07時54分
慕辺未行さん
やっとコメが残せますぅ
素敵な関係ですね~。人種も国も性も年齢も関係ないですね!
あっ、慕辺未行さんから頂いた素敵なサンタのお手紙、
おっちょこちょいなと~まの凡ミスで危うくバレるきっかけになりそうでした。1箇所書き足し忘れたんです…
危なかったぁ。うまくフォローできたので、来年はサンタさんにお手紙書くと言ってますヽ(*^^*)ノ
(TдT) アリガトウごじゃりました
と~まの夢さんへ
トレッキング中は、体調が悪いとかよほど疲れているとかでない限り、いつもこんな雰囲気でした。
おっしゃる通り、国も年齢も性別も関係なく皆が皆その場の雰囲気を楽しんでいました。
サンタクロースからの手紙、三男君喜んでくれましたかぁ?
ヨカッタ、ヨカッタ (^_^)!
名前など、消したところ予めメールに書いておけばよかったですね。でも、バレなくて良かった。
日本のある会社が、『クリスマスにサンタクロースからの手紙が届く』という事業を展開しているそうですが、今年は何通かが『宛先の印刷ミスで届いていないと苦情が寄せられている』と朝刊に載っていました。
私に届いたものを編集し直せば、そんな心配もないしお金もかからないのにねぇ!
ちなみに、この会社へ依頼すると\1350かかるそうです。ただしサンタクロース村からではないようで、『サンタクロースグリーティングセンター』というところから届くそうです。
投稿: と~まの夢 | 2012年12月28日 (金) 14時33分
Sherpa Stew Family、いいですね~!
一緒に食卓を囲んで美味しいものを食べると、人種も国籍も
関係なく、一気に心の距離が近くなる気がしますよね
エルマー&アンジュラ夫妻とも、この時出会ったんですね。
今も続いていらっしゃる関係は素晴らしいですね。
ところでクリスマスの日の記事のプレゼント、
どうもありがとうございました(大変遅ればせながら・・・)
可愛いテディベアに心が和みましたよ~
今年もどうもありがとうございました。
どうぞよいお年をお迎えくださいね。
hananoさんへ
初めはただ単に私が”好奇心”から食べてみたかっただけなのです。
「1人分は作れない」の一言で諦めることなく、彼らに提案して本当に良かったと思います。『同じ釜の飯を食う』ような、そんな仲間意識が芽生えたのかもしれません。
エルマー&アンジュラとは、このエヴェレストトレッキングで出会い、そして今日に至っています。
シェルパシチューを囲んだこの夜、これほどの付き合いになるなんて考えもしなかったです。
クリスマスプレゼント、気に入っていただけたでしょうか?
ブログ上ですから、こうするしかなかったのですが、サンタクロースと愛らしいテディベアに心癒されたなら、私も嬉しいです。
こちらこそ、この1年もありがとうございました。
来る年もどうぞよろしくお願いいたします。 m(u_u)mオネガイ
hananoさんもどうぞ良いお年をお迎えください。
投稿: hanano | 2012年12月28日 (金) 19時22分