皆様、おはこんにちばんは (◎´∀`)ノ
梅雨ですね。ジメジメとした憂鬱な季節です。
この地方も昨夜から降り始め、今日一日降っていました。先週、梅雨入りしたのですが何かいつも「梅雨の中休み」って・・・(゚_。)(。_゚)?
そんな季節ですが、若かりし学生時代...まだ10代だった頃ですが、今も覚えている素敵な夜がありました。
この夜の出来事は、かつて所属していた同人誌にも紹介しました。その同人誌を本棚の奥から見つけ出し、紹介します。
雨の記憶
毎年、梅雨のころになると思い出すことがある。
小雨降る中、辛い重荷を心に背負って、家路についた夜のことを。
あれは大学1年の時。とある文化サークルに所属し毎日楽しい日々を送りながらも、時として色々な問題にぶつかり、悩み、落ち込んでいたりもした。
そんなある日、いつも通りサークルの仲間たちと一緒に帰るのだが、私のあまりの落ち込み様に、誰もが声をかけることすらできない。ただ時折、心配そうにこちらをうかがっているだけ。というより、その時の私が誰一人として、人を寄せつけない、そんな雰囲気だったらしい。
仲間たちとはターミナル駅で別れ、私は一人、乗り換え駅でバスに乗る。やがてバスは、私の街までやって来た。
何人かの乗客がバスを降りる。降りた途端皆、傘を広げる。私も傘を持っていたが、濡れて帰りたい気分で、雨の中をトボトボと歩きだした。その時のこと・・・。
「同じ方向なら、入って行かない?」
と突然、声をかけられた。私は一瞬驚いた。
「アッ、いえ・・・、傘は持ってるんですけど、何となく出すのが面倒で・・・」
声をかけてくれたのは、見知らぬ女性、若いOL風の人だった。彼女は私の答えに
「なんて怠慢な・・・」と言って、笑った。
彼女は私を傘に入れて、こう続けた。
「バスの中でさぁ、すごく深刻な顔してたでしょ?ものすごく気になってたんだヨ~!
そしたら同じバス停で降りて、同じ方向へ歩いて行くんだもん。それも傘もささずに・・・!学生さん?」
私は本当に驚いた。見ず知らずの女性が傘をさしのべてくれたことにではなく、まるで私の心の内を見すかされたことに、私は驚いた。
「えぇ、そうです。サークルで色々とあって、何となく濡れたい気分だったんです」
「ふ~ん、そうかぁ!若いうちは色々なことがあるし、そんな気分の時もあるよネ!」
彼女は明るく笑いながら、話をしていた。
別れ際、彼女は、
「私は、もうすぐそこだから・・・。ここから先は、ちゃんと自分の傘をさしなさいよ、ネ!もし面倒なら、私の傘を持って行っていいワヨ!」
私はさすがに自分の傘を出した。
「アリガトウ!お休みなさい」と言うと、
「お休みぃ~!元気出してネ!」と、答えてくれた。
私の心は晴れ晴れとしてきた。同じ仲間たちが、どうすることもできないほど落ち込んでいた私を、たまたま同じバスに乗り合わせ、たまたま同じ住宅内に住んでいる見ず知らずの女性が、私を気遣い勇気づけてくれた。
「こんなこともあるんだな!悩んでるのがバカらしくなってきたな!」
私は翌日、落ち込んでいたのがウソのように元気に大学へ行った。
あれからもう30年以上の歳月が流れました。当時、若干18才。青春の真っただ中。
けれど、この雨の夜、落ち込みきって、雨に濡れて帰ろうとした夜のほんの4~5分の出来事、たかが4~5分だからこそ、映画の1シーンのように今でもはっきり覚えています。
そう、話の内容、彼女に言われたことさえも、今も脳裏にこびりついています。
それほど印象的な『雨の夜』でした。
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