エヴェレスト街道を行く その18
ムスタンコーヒーブラザーズ
我々5人は、そろって昼食にする。メニューを見ると、ステーキがあるではないか!
「ヨシ!昼食はこれに決めた!」
ヤク(牛の一種。3000m以上の高地に棲み、毛が長く寒さに強い。)のステーキである。久しぶりの肉。量は少ないものの、おいしい!肉に飢えてたからなぁ!普通のビーフステーキとなんら変わりない。ホントにおいしかった。
昼食後、3日ぶりにシャワーを浴び、トレッキングに出て以来、初めて衣類を着替えた。そして洗濯。ここナムチェでは2泊の予定だから、ここで今のうちに洗濯しておかないと。俺がシャワーを浴びている間、村の散策に出かけていた T 夫妻と I さんが戻って来た。
「ヘイ、ジン。何をやってるんだ?」
「洗濯だよ。ここで2泊するだろ?だからさ。」
すると彼らも「なるほど」と思ったのか、同じように洗濯を始めた。もちろん、手洗いだ。洗濯機なんてあるわけがなく、バケツに水と洗剤を入れ、手でゴシゴシ。天気は今一つだが、明後日のスタート前までに乾けばいいのだから、大丈夫だろう。その後は、のんびりと体を休め、やがて夕食。
俺は昼食同様、またしてもヤクステーキにした。ホントにおいしかったし、量が少なかったので、また食べたくなったのだ!食事を終え、ちょっと寒かったのでストーブのそばで暖をとっていたら、E 氏が俺を呼ぶ。毎晩のように交わされる会話だ。
「Hey Dsching ! Do you want to Mustang Coffee ? (ヘイ、ジン!ムスタンコーヒー飲むかい?)」
これだけで俺を始め、ラジンや A さん、I さんも「また?」とばかりに大爆笑!
「E , do you want ? (E、君は?)」
「If you want , I want. (お前が飲むのだったら、俺も飲むよ)」
「I also , if you want , I want . By the way , is that the menu ? (俺もだよ。君が飲みたいなら俺も飲むよ。ところで、メニューにあるかい?)」
「No menu ! (メニューにはない!)」
「Yes , O.K. I will ask the boy . (わかった。じゃあ俺がボーイにできるかどうか聞いてみるよ)」
俺はそう言って、ロッジの厨房へ入って行き、キッチンボーイに尋ねてみた。メニューにロキシーもブラックコーヒーもあるのだから、この二つをミックスすればムスタンコーヒーになるので、当然できるはずだ。
しかし、メニューにないものの値段をどうするかだ。ボーイたちは相談して決めた。1カップ30ルピー。今までのところに比べると、やや高いな!
俺は E 氏に、
「They can Mustang Coffee available . But... a little bit expensive , 1 cup 30 Rs . (ムスタンコーヒーできるのだけど、ちょっと高いんだ。1杯30ルピーもする。)」
と、説明し、飲むかどうか相談する。
二人とも、さっきと同じ会話だ。お互い「飲みたいなら飲もうゼ(つきあうゼ)」ということだ。同じ考えで、二人してニヤリと笑い、当然のようにこの夜もムスタンコーヒーを飲むこととなった。
毎晩二人で飲む俺と E 氏を、奥さんの A さんは
「Dsching, you and E are "Mustang Coffee Brothers ". (ジン、あなたとE は ”ムスタンコーヒーブラザーズ”よ)」
と、命名してしまった。もちろん、I さんも
「Yes , I think so . (そう、私もそう思うワ)」
と、笑っていた。
ナムチェ・シェルパトレッカーズロッジにて
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コメント
こういう空間でお友達になると、きっとずっと続くのでしょうね。でも、アメリカの人なんてすごくうちとけてもあとはあまりって感じです。ホームステイでしばらくいて、涙ながらに別れても、時にはクリスマスカードとかきますけれど、さっぱりしたもの。それでも、長ーい付き合いは、オバマパレードに参加した彼女、20年以上付き合っています。
hannaさんへ
彼らと知り合ってもうすぐ17年がたとうとしています。ガイドや I さんとはそれっきりですが、T 夫妻とは今でも付き合いがあります。ドイツ語を独学で学び、いっそう彼らとの距離が縮まりました。まさか、これほどまでの付き合いになるとは、この時は予想だにしていませんでした。
投稿: hanna | 2009年2月 3日 (火) 18時55分