エヴェレスト街道を行く その28
カラ・パタール登頂!間近に聳えるエヴェレスト!
ゴラクシェプでティータイムを終え、いよいよゴールのカラ・パタールを目指す。
ここからは、かなりきつい登りだ。空気の薄さもあり、完全にへばり気味である。
少し登っては休み、また少し登る。
カラ・パタールを目指す
だが、もうダウン寸前だ。ついに、しゃがみ込んでしまった。
中腹までは登ってきている。そして、ここからでもわずかながら、エヴェレストの頂が、その姿を現している。
ガイドのラジンは、俺の体調を気遣ってか、
「ここからでもエヴェレストは見える。もう下山した方がいい。」と勧める。
しかし、俺の答えは、「No!」。
当りまえだ!ここまで来て、どうして諦めることができようか・・・?
そしてその時、俺に数多くの友情が・・・!
「Hallo ! dsching ! Are you O.K ? Don't give up ! Never give up !
If you will go to Kalapatar , you can see very nice view !
You go slowly ! Slowly , slowly you go ! Never give up !
(ハロー、ジン!大丈夫か?あきらめるな!絶対にあきらめるな!
カラ・パタールまで行けば絶景が眺められるぞ!
ゆっくり行けよ!ゆっくり、ゆっくりでいいから!絶対にあきらめるな!)」
と声かけ、励ましてくれた、名も知らぬトレッカー。
「Hey dsching ! How are you ? (ヘイ、ジン!大丈夫か?)」
と、ドイツ人の E 氏。
連日、同じ村でキャンプをしながらトレッキングしていたシンガポール在住のフランス人夫婦も、へとへとの俺を見て、彼らのガイドに栄養補給食品を持たせ、俺に分け与えてくれた。
「今、一つ食べて、30分後にもう一つ食べなさい。」と。
俺は彼らに、
「Thank you very much ! Merci ! Merci beaucoup ! (ありがとう!本当にアリガトウ!)」
と、英語、フランス語両方で感謝した。
カナダ人の I さんも、
「dsching , Please drink the water ! (ジン、お水飲んで!)」
と、貴重な水を分けてくれた。
高所では水分補給は不可欠なのだが、彼女は、
「ゴラクシェプで補給しておいたから・・・」
と、惜しげもなく分け与えてくれた。
ほとんどダウン状態で、「登頂はあきらめろ!」と言うラジンの声を無視し、同じ目標を目指す仲間たちの暖かい応援、援助を得て、また、彼らのその気持ち、好意に応えるためにも、俺は一歩一歩ピークへと近づいて行った。
もうあとわずかだ。E 氏も I さんもほとんどピークに近づいてきている。
そして、ちょうど正午ごろ、とうとうヤッタ!
カラ・パタール登頂!
カラ・パタールにて ここまで苦楽を共にした E 氏と。後方の山はプモリ
標高は5545mだ。俺に続き E 氏、そして I さんも!
A さんが体調不良でゴラクシェプに残り、ここにいないのが残念だったが、
「シェルパシチュー・ファミリー」とか「インターナショナル・エヴェレスト・トレッキング・ファミリー」と、お互いに認め合っていた仲間の一員として、この目標を達成することができた。
ジリ村からスタートして14日目。日本を出てちょうど1ヵ月。
今、俺は・・・多くの国際的友情に囲まれ、助けられ、8年越しの夢を実現させたのだ。
眼前には、エヴェレストがその偉容を誇っている。エヴェレストだけではない。プモリ、ヌプツェ…、7~8000m級の山々、白き神々の座が、要塞のごとく、立ちはだかっている。
左後方がエヴェレスト(8848m)、
右ヌプツェ
俺はついにこらえきれず、涙を流した。
「夢を実現した」だけでなく、ここまでの道のり、多くの友情・・・。
もし俺がたった一人、またはガイドとずっと二人だけで、他のトレッカーとコミュニケーションしていなかったら・・・、たぶん登頂できなかっただろう。
仲間たちはもちろん、名前を知らない多くの人たちに、俺は支えられ、助けられ、ここまで登ることができた。
このご恩は、一生忘れまい。忘れてはならない。
本当にありがとうございました。
| 固定リンク
コメント
いいですね、なんの利害もなく一つの目標に向かって助け合う仲間たち。さすがエヴェレストは威風堂々という感じですね。
hannaさんへ
ここまで2週間、お互いに苦楽を共にしてきた仲間たちです。言葉の壁こそあれ、心は一つだったと思います。ほんのわずかな日々の時間でも築くことができる友情、この教訓、これからもずっと大切にしたいと思っています。
エヴェレスト、頭の方しか見えていませんが、やっぱり凄いです!あの山の頂に立った人も、スゴイです!私には、そこまでの野心もなければ、登山技術もありません。行けることなら、登ってみたい、というのが本音ではありますが…。
投稿: hanna | 2009年2月13日 (金) 23時08分
こんにちは。 初めて訪問させていただきました。 本格的な登山家でいらっしゃるのですね! 楽しく、また真剣にいろんなことに挑戦していらして、すごいです。
もっと素人向けの、簡単なコースでしょうが、主人もヘリコプターで行って、そのあとヒマラヤントレッキングをしました。 同行の仲間より、寧ろシェルパの方に随分と興味が向いていたようで いろいろ話を私にしてくれました。
私もB型なんですが、ナニカ~~! 私はB型、ものすごく誇りをもっていて、 Aの方はかわいそう・・と思っています (o^-^o)
(差しさわりがあったら、スミマセン・・!) ^&^
bellaさんへ
初訪問と初コメント、ありがとうございます。私は登山家などではありません。私が歩いたコースも、時間と体力さえあれば、誰でも行くことができます。ご主人様もヒマラヤ・トレッキング経験がおありなのですネ。ヘリで行ってから、となると、シャンボチェからホテル・エヴェレスト・ビュー付近かな?
bellaさんもB型ですか?何となく、わかるような気も・・・。また、ブログへお邪魔させていただきます。
投稿: bella | 2009年3月15日 (日) 12時02分