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2009年2月11日 (水)

エヴェレスト街道を行く その27

ゴラクシェプへ

3月19日(木)晴れ
ロブチェ7:15~9:10ゴラクシェプ9:50~12:00カラ・パタール(5545m)

 6時30分ごろ起床。絶好の青空が広がっている。
パンケーキとチーズオムレツで朝食とする。

出発準備をしていると、昨夜は隣のロッジに泊まった I さんがやって来た。
さすが、「インターナショナル・エヴェレスト・トレッキング・ファミリー」だ。
ロッジが別々になっても心は一つ!

いよいよ、最終目的地であるカラ・パタール目指して出発する。
もちろん、5人一緒だ。

初めのうちは、平坦な道だが、やがてゴロゴロとした岩山のアップダウンとなる。
高山病のせいか、昨夜はよく眠れず、風邪もひいたみたいで、体調は今一つ。
なるべくゆっくり歩く。というか、そうならざるを得ない。
すでに標高は、5000m付近なのだから。

すると、少し先に小さなテントが見えた。
俺達5人は皆、気づいている。
「あれは、ディンボチェで会ったマウンテンバイクで来ている日本人だろう!」と。

テントの前に数人のトレッカーがいる。やがて彼らは大きな声で俺を呼んだ。
「dsching , come on , come here ! (ジン、来てくれ、こっちへ来てくれ!)」
「何事か?」と思った俺たちは、急いでテントがあるところへと向かった。

「Hallo ! What's happen ? (ヤァ!何かあったのか?)」と尋ねると、彼らは
「こんな時間になっても、寝ているなんておかしいだろ?だから声かけたんだ。だけど返事がないんだ。もしかしたら高山病で倒れているかもしれないし…。君なら同じ日本人だから、君が声かければ返事があるかもしれない。」
と話した。

「なるほど!」と思い、俺はテントの中に向って日本語で声かけてみた。
すると、男から返事が!
その声を聞いて、俺たちを含めそこにいた10人ほどのトレッカー皆、
「オォーッ!」と、少し安心!

やがて男がテントから出てきた。
俺は彼に、皆が心配していることを話すと、彼は
「すいません。声は聞こえていたんですが、体がだるいし、英語で話すのも面倒だったので・・・」
と苦笑いしながら答えた。

周りのトレッカーたちは、皆「大丈夫か?」「今日、カラ・パタールまで行けるのか?」と尋ねている。
俺は、一つ一つ通訳していた。
彼は、「大丈夫です。ありがとうございます。今日は無理かもしれませんが、明日なら行けると思います。」と日本語で答えた。
俺はそのことを皆に話すと、皆も
「そうか。頑張れヨ!成功を祈るヨ!」と、彼を励ましていた。
俺も彼に「ここまで来たんだから、絶対にあきらめるなヨ!」と、同じ日本人としてエールを贈った。
彼は日本語で、そこにいる人々に何度も頭を下げながら、
「すみません。ありがとうございました。」と繰り返した。
多くのトレッカーに励まされ、元気づけられ、彼もカラ・パタールを目指すだろう。

ロブチェから2時間ほどでゴラクシェプ到着。
標高は5000mを超えている。
ゴールのカラ・パタールへは、ここからまだ500m近く登らなければならない。

目の前の丘の頂上がカラ・パタールなのだが、近いようで遠い。
ドイツ人夫妻の A さんは、「もう私には、これ以上は無理!」と、
自らの体力の限界を感じたのか、ゴラクシェプに残ることにした。

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コメント

ここからが正念場ってとこですね。自分のペースを守り無理しないということも難しいのでしょうね。
食べた物の写真、その時は気付かないけれど後で話すと説明が難しい。私もいつも写真撮っておけばよかったと思います。


hannaさんへ

いよいよ、このトレッキングのクライマックスへと向かいます。すでに標高は5000mを超え、空気の薄さとの戦いでもあります。
食べ物の写真については、周りの人も撮っていたりすれば、撮りやすいのですが、何か撮りづらいですネ!

投稿: hanna | 2009年2月12日 (木) 08時47分

マウンテンバイクを担いで登っていく若者はどうしたのでしょうかね~
5,000mを超えて後500m、数字だけでは語れない登りと察しています。水平だったら楽ですが垂直500は厳しいですよね~私も指導標の「後何㎞」って本当か~といつも思いながら登っていますよ(笑)


青龍○段さんへ

彼とはその後、会うことはなかったので、はっきりとはわかりませんが、あそこまで行ったからには、間違いなくカラ・パタールへ登頂したと信じています。
5000mを越えてからの500mは・・・、「たがか500m、されど・・・」。本当に厳しいものがありました。日本の山で、500m登る感覚とは、はるかに違います。

投稿: 青龍○段 | 2009年2月13日 (金) 21時39分

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